water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

越代の桜2022

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 2022年は春先にかけて厳しい寒さが続き、桜の開花時期も平年通りとなりましたが、いざ咲き始めると急に気温が上がって、咲いたはいいがあっという間に散ってしまいました。

 例年ならゴールデンウイークに見頃を迎える福島・古殿町の「越代の桜」も例外ではなく、4月下旬には満開となってしまった。越代の桜は何度も訪れているけれど、こんなに早いのは僕には初めてかもしれない。越代の桜が見られずして何がGWか。

 

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 布団の中でぼやいていても仕方ないので、久々に早起きしてやって来たぞ。7時前に到着しましたが、この時間ではすでに先客がおり、静かに越代のスケジュールは進行してゆくのです。

 

 タイミングはギリギリ満開。朝の陽を合図に、花は散り始めた。

 

 

 朝方といっても寒さは感じない。ここは古殿の山の中、5月でも早朝なら肌寒さが残るくらいだけれど、これでは4月中に満開になってしまっても致し方ないな。

 

 

 これが僕にとっての30代最後の桜となりました。

 来年の桜はもう少し平年通りに咲いてくれるとうれしいなあ。

 

  *   *  * *    *  *

 

 結構、桐生ちありの「東京」を聴いていた。「東京」というタイトルに捨て曲なし。という格言があるか知らんが、この曲も例外ではない。作詞のかっちりはまったとしか言えない見事な東京の内面化とローファイぎみの録音がばっちり融合して稀代の名曲に仕上がっていると思う。こういうのはある種の奇跡で、狙ってできるものではないのだろう。「輝き失くした鳥だって」はなかなか出てこないですよ。個人的には2021リマスターは"歌いすぎている"ので原曲の方が好きです。

 「東京」も素晴らしいのだが、桐生ちありは「In Cyder」がいいと思う。

 YouTubeではすでにリミックス版しかないが、原曲の整理しきれていない音のクラスターと、敢えて全てを伝え切っていない歌詞とのマリアージュが、ノータイムで心を巻き戻す。あの道に、あの風景にこの曲はどのようにマッチするだろうかと考える。この曲が、あの道を、あの風景を、初めて見る瞬間に巻き戻すような、かといってそんなわけもないような既視感とともに、予感をはらんでいる。

 「夏が来るよ/すぐに」この一節は含蓄が深い。が、たかだか小娘に言われるのも癪に障る。が、夏は来る、すぐに。その小娘の聖性にハッと心洗われながら、季節の循環と永続性に思いをはせる。