water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

速報、残念桜はまだ咲いていた[茂木町茂木]

 今年は東京で観測史上最速を記録するなど桜の開花が各地で異常に速く、えーそうなんだとか言っているうちに新型コロナの影響もあって、あるいは馬券が当たらないのもあって、今年の観桜はなしだな…と4月も後半に入りやっと諦めがついたところだった。山々も新緑のあいまいな輝きをまとい始め、忙しなくも季節が移ろいの準備を進めていた。そのまぶしくも懐かしい光を見つめながら、うん、もうそろそろ大丈夫、気持ちの切り替えができそう、かな…。などと、今年の桜への未練を断ち切れたかに思えたある日、それは突然目の前に現れた。

 桜だった。

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残念桜

 まだ咲いてた! 咲いていました残念桜。

 さすがにピークは過ぎていたものの、一昨年撮影した時期と今年とを比べても、いまだ咲いていること自体が驚きです。

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 この残念桜の特徴といえば、すぐそばを真岡鐵道の線路が通っていることと、田圃の中に立つこと。すなわちその姿が水面に映るということですが、前回訪れた時はまだ時期が早く張られていなかった水が今年は張られていて、鏡桜を拝むこともできました。 

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 また、桜の根本に立てられた案内板がびりびりに壊れていて内容を全く読むことができませんでしたが、今ではすっかりきれいに復元されていました(去年あたりにはすでに復元されていたはず)。残念桜の名前の由来が記されています。

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 そして、残念桜のもうひとつのお楽しみといえば、真岡鐵道とのコラボレーション! 新型コロナの影響によりSLの運行こそ休止していますが、通常の鉄道は時刻表どおり(4月29日から一部列車の計画運休を実施するとのこと)。ならば撮らねばなるまいとカメラのファインダーを覗いて待ち構えるも、気になるのはさっきから点滅している電池マーク。電池が切れそう。

 下り列車がやって来て、もう一度構図を確認してさあ撮るぞ!とボタンを押すも、シャッターが切れず。電池残量が残っていなかった。一昨年もそうだったが、私には緊張の一瞬を切り取る力量に欠けているようです。何をするにせよ集中力が続かないんだ。

 手でさすったりあっためたりしてバッテリーの残量を何とかかき集め、茂木駅始発の上り列車を最後の力を振り絞って撮った一枚が、こちらです。

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残念桜と真岡鐵道

 西から下り坂のお天気で、山の方から冷たい風とともに雲がやって来て太陽を隠してしまったので、列車が来るころにはコントラストに欠ける景色になってしまったが、それもまた良し。今年はいろいろと仕方がない中、まだ花健在の残念桜を見ることができてよかった。これで気持ちがひとつ、すとんと収まったかな。…でもこうなると人の欲は果てしないわけでして、やっぱり越代の桜にも行きたいなあ、なんて気持ちがむくむくと湧いてくるのでした。まあ、行きたいのは山々だけどねえ…。

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  Nate Smithというドラマーがいるんですが、彼の「Kinfolk: Postcards from Everywhere」という作品が好きで折に触れて聴いています。

 

  全体に郷愁あふれるおだやかな空気が漂っていますが、中でも5曲目の「Retold」がお気に入り。不思議とドラマーの書く曲はリリカルで優しいものが多いですね。そんなネイト・スミスさんですが、たとえばサックスのDonny McCaslinと一緒にやったライブでは豪快なドラミングを披露しています。

 画面右にいる、小熊のような、殺気を放った竹中直人みたいな人がネイト・スミスさんです。どうなってんのこの人の筋肉、この人のライドシンバル。ものすご過ぎる。「Retold」の優しく美しいネイト・スミスはいったいどこへ。

 そんなスミス氏が新譜を出したというのでこれも聴いています。先日ベン・ウィリアムスの新譜をちょこっと紹介しましたが(五斗蒔田桜[郡山市中田町木目沢] - water_sky’s waterbound diary)、彼と同様に歌物をフィーチュアしているようで、ジャズ畑の人がR&Bに接近するのが最近の傾向でしょうかね。

こちらもbandcampで全曲聴けるのですが、曲目少ない中で2曲目「(if love won't) can we forgive ourselves?」が出色。何かヴォーカルがディアンジェロに影響受けたヴァン・ハントみたいだなーと思って聴いていたらまさしくVan Huntさんでした。これはうれしい久々の邂逅。