water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

那須の桜[那須塩原市]

 いよいよ桜の季節がやって来たと思ったら、"平成最後の寒波"なんてのがやって来ちゃって所によっては大雪になっているようですね。暖冬の年の4月にはありがちなことではあるけれど、せっかく桜が咲いたというのに出鼻をくじかれてしまった。冷たい雨で水汲みにも行けないし、仕方がないので那須で撮った写真を眺めている。

 栃木のヤマザクラ栃木の無名?桜[大田原市某所] - water_sky’s waterbound diary)がそろそろ咲いているかな?と見に行ってみると、これが全くの空振り。まだちょっと先だったかーと肩を下ろす暇も無く、那須の山が薄い雲をまといながら雪をかぶっている光景に、雪をかぶった山をバックに桜が撮れないか…と、那須塩原方面をうろうろ。しかしなかなかこれといった景色に出合えず、にもかかわらず山はただただ美しく、どこかにひときわきれいな場所があるんだろうな、前調べしとくんだった…とほぞを噛む思い。諦めかけたころ、傾きかけた光に照らされた一本の桜を見つけた。

 

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 美しい…。後ろにそびえるのは大佐飛山地。

 久々に望遠レンズを持ち出したので、どうもピントがうまく合っておらず多くの写真がボケてしまっている。せっかくの素晴らしいタイミングもピンボケしてしまった。アンシャープマスクをバキバキにかけてむりやり粒状感を出している。

 

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 この日とりわけ美しかったのが、山頂部に真白と雪をかぶった那須岳。終日、半分以上雲に隠れていた。むりやりバックに添えて桜の写真を撮る。

 

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 あまり那須に来ることを好まないのだが、その理由の一つに帰るときには山に背を向けることになるから。那須平野からいささか唐突にどーんとそびえる山々には、近くから見るにしろ遠巻きに見るにしろ毎度驚嘆の思いを抱かされずにはいられない。その美しい姿を見ながら去ることができないのはつらいものがある。だが、行き当たりばったりにしてはまずまず良い写真も撮れたし、中満足といったところ。今春中にもう一度行けたらと思う。

 

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 個人的には、那須は遠い、ほとんど永遠に遠い場所だが、実際には結構近い。なので訪れるたびにとても不思議な気持ちにさせられる。二度と戻ってこない時間、二度と戻ってこない風景を無意識にトレースするかのように、僕は那須へと向かうことになる。そこには何も変わらないもの、微妙に変わってしまったもの、失われて二度と戻ってこないもの、それらが混じり合ってひとつの「現在」をつくり上げている。そこには全てがある、その全てに背を向けて、しかし僕はどこへ帰るというのだろう。