water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

小山のヤマザクラ[茂木町小山]

 
 毎年様子を見には行ってみるものの、なかなか良い時に巡り合うことのなかった、茂木町の小山のヤマザクラ。今年はちょうど良い案配の花の付きに出合えました。
 
 例年よりもかなり早い桜の開花のもと行われた第78回桜花賞は、ご存知の通り。正直、アーモンドアイのシンザン記念は懐疑派でした。振り返ってみれば、これまでレースの上がりよりも1秒近く速い末脚を繰り出して勝ち上がってきた同馬、今回も例に漏れずということなのですが、まあ衝撃でした。あのラッキーライラックをムチ一発も使わずに悠々差し切るとは、そこまではイメージできなかった。いやイメージできたとしてもそれはあくまでイメージでしかないというものでした。いざ目の前でそれをやられてしまうとは。パドックでアーモンドアイが映し出された時、やっぱり阪神に向きそうなバネのある体だなあと観ていましたが、直後にラッキーライラックへ画面が切り替わると、その雄大な馬体に馬齢が違うほどの差を感じたのですが、そんな個人の勝手な印象を吹き飛ばす完勝劇に、馬券ともども参りました。ラッキーライラックは好スタートからスムーズに先行できてテンも34.5とそこまで速くはならずいい感じで運べましたが、やはり初めての34秒台でラストは脚がたまらなかったか、時計は前走チューリップ賞と全く同じ1:33.4で間違いなく走っているのですよ、それでも敵わなかった。相手が悪かったとしか言いようがないです。まじかよ、同じことを今まで下してきた相手に言っていたはずなのに…。馬券的妙味からラッキーライラックの2番手に挙げていたのがプリモシーン。しかし鞍上の戸崎、1頭だけ出遅れたので1コーナーまでに最内に入れたのは良かったというかそうせざるを得なかったし、道中は手ごたえ十分で直線向いただけに、最後の進路取りが… 大阪杯サトノダイヤモンドと同じく、そこから活路を求めて外へふらふらっとした結果、結局また詰まって追い通せず… 結果論なので仕方ないが、今回も内が開かないこともなかったのでじっと待っていれば最内を突けたかもしれない。それでも遅きに失した感はありますが。ただ、岩田のイン突き敢行がいかに勇気の要ることかはあらためて実感しました。そしてリリーノーブル。ラッキーライラックとともに新馬の時から注目していた馬。今回追い切りの様子が良く見えなかったので、少し気持ちが離れてしまっていました。この2頭をハナから信用していればよかったものを、変に浮気心を出してしまうから獲れる馬券も獲れない。ああ今週も苦渋の色の空が暮れる…


小 山 の ヤ マ ザ ク ラ

 
 今年は例年よりもかなり早い桜の開花となり、各所でイベントなどの予定が大幅に狂ってしまい、ある意味寒々しい「桜まつり」が開催された乃至『これからだよ!(笑)』というお声を頂くものと思われますが、この日訪れた小山のヤマザクラでも、それは起こっていました。
 ちょうど僕が桜を見に行った時に、地元の方がやって来ました。何でも、桜があまりに早く咲いてしまったので次の週に行うはずだった地域のお花見を繰り上げて、今週末に行うことにしたのだそう。その時に桜をライトアップをするので、ライトの調整をしにやって来たのだとのこと。またとないチャンスなので、ライトアップした桜を撮らせてもらいました。
 


 
 桜を眺めながら、面白い話を聞かせてもらいました。
 現在、このヤマザクラは県道沿いに立っていますが、昔それこそ自動車など通らない、砂利道だったころの昔には、遠くからおじいさんが自転車でやって来て、桜の樹の根元で紙芝居をやったのだそうです。僕も親からその類の話は聞いたことがありますが、桜の下で紙芝居だなんて素敵すぎるじゃあないですか。そのころの桜は、今よりもかなり樹高が高く、現在の道路の向かいに立つ建物のあたりまで枝が伸びていたそう。今伸びている枝はひこばえのそれで、周辺の環境の影響もあってか昔に比べると小ぶりになったようです。
 さらにこんな話も。道路の向かいに広がる田畑の奥に橋があり、昔はそのたもとに水車があったそうで、地域の人が集まって花見をしていると、そこから遠く見通せるその水車が火事になってしまった。それっというんでみんなで行って火を消して戻ってくると、桜の下に広げてあった食べ物や何かが全部、野良犬や野良猫に食い散らかされていたそうです。誰か残っていればよかったんでしょうけどね。
 そんなわけで、樹齢何年といったっけ、まあ何百年くらいだと思いますが、ネットで検索してみてください、今でも地域の人に愛でられ愛されるヤマザクラです。狭い道路のすぐ脇というロケーションが難点ですが、それもまた味です。
 
 今年はあっという間に咲いてあっという間に散ってしまった。桜の開花は春の終り。その余韻もないまま過ぎ去ってくれたから、それはそれで気が楽だけれど。それでもまだ、残る桜を狙いに行きますよ。