water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

那珂市工業団地西の湧水[那珂市戸]☆☆ 

 2013年最初の、それも元日。の湧き水巡りは、那珂市の工業団地近くにあるという湧水をめざす。なかなか近場のポイントは、簡単に行けるだけに後回しになっていたので、天気も良いし遠出するにはダルい元日ということで、ちょっと様子を見に行ってみることにした。「工業団地の近く」と聞くだけで、もう水を汲む気にはなれないんだけど。

032.jpg 工業団地は、林で区切られた丘の向こう。丘に沿うように南下する道路をのんびり走りながら、湧水ポイントを探す。
 写真奥の林が途切れるところまで行ってから林沿いのあぜ道をすすんでいくと、さっそく配管があり「すわ、湧き水?」と思うも、どうも写真で見たのと様子が違う。もうちょっと行ってみるとまた同じような配管から水が出ている。さらに進むとまた配管から水。どうもこの丘はかなりの量の水を通しているようだ。

 そうやって北上していると、一台の車が停まっている。どうやら車を洗っているようだ。ビンゴ! 目的地に到着です。ネットで見た震災前と後では、だいぶ様子が変わっているようだ。
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 とにかく現在は右の写真のようになっていて、震災後に付近の住民が修復作業をしたような感じになっている。思いのほか水量が豊富で、びっくり。

 洗車していた女性としばらく話をする。すぐ近くの方で、いつもこの湧き水を利用しているそう。何年か前までは飲み水としても使われていて遠方からも人が来たりしていたそうだが、福島の原発事故があってから飲む人がいなくなったとのこと。いや…というか、すぐ上は工業団地なんでそっちのほうがよっぽど心配ではないでしょうか? ひと口飲んでみると、まあ普通の湧き水ではあるがすっきりしている。工業団地ができる前なら問題なく飲めただろう。
 女性は山登りが大好きで、このあたりを散策するのも大好きだという。「年明けから若い人とこんな話ができて、ほんとうにしあわせ!」と大層喜んでおられた。さらに秘密の場所も教えてもらったので、今後訪れる楽しみがふえた。
035.jpg ちなみに、水を流す手掘りの側溝にはクレソンが大量に繁茂していた。クレソンが生えているならきれいな水かな! ちょっと摘んで帰っちゃおうかな! なんて思ったけど、帰って調べてみるとクレソンの繁殖力は強くて、汚水でも問題なく繁殖するそうだ。むしろ、丘の上に工業団地が広がっているだけに富栄養化がすすんでいることの証に見えた…。

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  南北につづく丘の稜線が途切れるところにある、庚申塔をまつるお堂に寄ってみた。元日ということで、うどんが数把お供えされている。
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 お堂のすぐ脇では、丘から下ってきた水を集めて道路脇の排水溝に流しているが、すごい水量。那珂市には湖や沼が多く点在するので肥沃に富んだ場所だというのはわかっていたけど、ここまでとは。こと「湧き水」に限ってだが、工業団地さえ無ければなあ、、、とつい思ってしまう。
 (2013.01.01訪問)