water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

石久保の清水[常陸太田市町田町]☆

 どうも昔から、物事を正確に把握しないというクセがありまして。だいたいは生まれついての気質なんでしょうが、ある頃「少し抜けてるくらいが面白い」という処世術みたいな考え方が芽生えちまってからは、それまでだって特にちゃんとしていたわけでもないのに手前に都合のいい解釈でもって単にいい加減な生き方をするようになってしまいました。物事を正確に把握しないというのも、食事にたとえるなら肉はご飯の量に応じて最後まで残しておく。といった、食べ方の問題なんですよ結局は。全然そんなことないのに、徒に時をただ浪費するだけだのに、肉を食っちまうとそこで食事のキモが終ってしまう。そいつを食っちまったら、いつまた肉が食えるか分からない。そんな風に考えている節があります。
 何の話かというと、前回ご紹介した「富士山下の湧水」は、常陸太田市教育委員会のホームページ(リンク:http://www.city.hitachiota.ibaraki.jp/page/page003346.html)を見ていて発見したわけですが、他の地域については全然見ずに放っておいたわけです。他にも湧き水の情報があるかもしれないのに、見ないままにしておくという悪いクセです。
 そんなわけで出合うのが随分と遅くなってしまった「石久保の清水」。名称からして雰囲気のありそうな湧き水ですね。件のホームページ(リンク:http://www.city.hitachiota.ibaraki.jp/page/page003663.html)では、東日本大震災の時にも多くの人が水を汲みに訪れたとのこと。場所は水府中をさらに奥に入った山の中。かねてより、金砂郷地区に湧き水が無いものか、きっとあるはずなんだけどなあ。とずっと思っていましたので、胸躍る心地です。早速向かってみました。

 

  水府中の坂を上がり、集落の間を抜けて山の中へ入っていくと間もなく看板が見えてきます。僕は基本、人当たりだけは良いので、はじめ怪しまれてもすぐにその誤解は解けるのですが(そもそも解けているのか疑問ではあるが)、しかしこのご時世、子供がいる辺りをうろうろしていると何を言われるか分かったもんじゃありません。がために自然と学校の近くから足は遠のいていました。これじゃ見つからないわけだなあ。地域整備に際して立てられたと思しき看板が出迎えてくれます。

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石 久 保 の 清 水

 

 遠目に見れば、何とも風情ある姿。風の音と木々のざわめきだけが茫とこだまする山の中で、その奥からか細く水の音が聞こえてくる、この瞬間こそ、湧き水汲みの醍醐味じゃありませんか。

 念願かなって金砂郷の湧き水にやっとこさ出合えた喜びたるや。はやる気持ちを抑えつつ水場に"取り付い"てみるものの、…ムムッ。あれっ?

 これ沢水だ…。

 見れば、湧出点の奥には沢が続いており、そこから流れ落ちてきているのでした。

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 ためしに持参した4Lペットボトルに水を汲んでみたものの、やはりごみの混入が多く、持ち帰っての飲用にはあまり適していないでしょう。湧出量は2.16L/min(4Lペットボトルを約1分51秒で満たす)。降雨などの気象条件に影響を受けやすい環境なので、この湧出量にはさしたる意味はないでしょうが、重要なことは、恒常的に水の流れる沢が存在するということです。

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 冬季は午後には日が翳ってしまい寂しさを感じるロケーションですが、暑い夏のさなかにタオルを持って訪れたいですね。

 

 

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 石久保の清水から里の方を見る。道のくねり加減がいい感じですね。逆方向に上っていくと、やがて十国峠の四つ辻に行き当たります。

 

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 里の方に少し下りた辺りには、庚申塔六地蔵があります。庚申塔ということだが、馬頭観音ですね。馬券が… 当たりますように…(生気の欠けた表情で念じる)