water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

白沢の清水[福島県只見町]☆☆☆☆☆

 奥会津の湧き水といえば、金山町の天然炭酸水が有名ですが(1年ぶりに行ってみたら、少し離れた場所に駐車場が増設されていた)、お隣の只見町にも言うまでもなく湧き水がたくさんあります。切り立つ山が背負い込んだ雪が解け流れ下る、それは"清冽"という、僕がクリシェでよく使う表現ではいささか苛烈すぎる冷たさを抱いた水が、それこそ里の山のほうぼうに湧き出ているわけです。

 奥会津に来る時には、2011年の豪雨によって甚大な水害を被った只見川流域のいまだに深い傷跡を眺めながら、いずれかの湧き水を汲んでいくのですが、その中でも僕が気に入っているのが、「白沢の清水」。

白  沢  の  清  水
 只見川の主な支流である伊南川、の支流のひとつ黒谷川、の支流のひとつ白沢、のほとりに湧出。黒谷川も先の水害で氾濫があったのだろうか、護岸工事がたえず行われていますが、とてもそんなに厳しい川には見えない。浅く広く、美しい色をたたえて伊南川に合流している(つまり豪雨ともなるとその奥の急峻な山からとてつもない水がまさしく鉄砲玉のように襲い掛かってくるのでしょう)。

 水を汲んでいると、近くの家からおばあさんが歩いてやって来ました。手には4Lのペットボトル。いつもここに汲みに来ているのだそう。私も水を汲みに来たのだ、と告げると、私の車のナンバーをちらと見て「遠い所からよく来たねえ(なかば呆れ気味に?)」と仰いました。
 「茨城にも良いところはたくさんあるでしょう」とおばあさんは言いますが、やはり雪解けの水には敵いません。そしてその水を育むこの美しい風景。「ここの水は会津朝日岳の雪が解けた本当に良い水だよ」。
 おばあさんのお墨付きを頂きました。そんなわけで周囲の景色もぐるりと回ってみた水汲み動画をどうぞ。

 周囲はこんな感じの実にのどかな田園風景。黒谷川は写真の左奥の方に流れる。

 白沢と黒谷川が合流するあたりから、会津朝日岳方面を眺める。まるで上高地である。