water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

大清水の清水[西郷村大清水]☆☆☆☆☆

 
 湧き水に興味を持ち茨城のお隣の福島にも足を運び始めた頃、ネットで見かけてものすごく印象に残った場所。まさに湧き水の聖地といった趣であり、「こんな場所が実在するのか…!」と驚嘆した。ある夏の蒸し暑い日に、探索は実行された。
 ところがどっこい、湧き水はなかなか見つからない。ネットの情報をたよりに付近までは容易にたどり着けたものの、周囲をぐるぐる車で回り続け、山の中の道や黒川のまわりを行ったり来たりして、結局1回目は見つからずじまいで終ったのだった。

 
 2回目の探索でようやく発見。住宅地から程近い、よくある杉林の中に忽然と湧き出しているのだった。それでいて深山の趣。水は清冽。いろいろ驚きの湧き水である。
 

大 清 水 の 清 水

 
 1枚目の写真を見ていただくと分かるように、近くからは常磐道東北道のその奥にそびえる那須山塊を望める。そういうロケーションから、これは山から流れ下ってきた水が湧き出しているんだなと思うのだが、地図を眺めればかなり距離をへだてている。伏流水なのかもしれないが。水量はきわめて豊富で、やはり山の雪解け水を想起させはする。


ナゾの旗が掲げられていた
 
 湧き水の付近は後ろの山を従え、田んぼとその向こうに住宅地が広がるという平凡といえば平凡な風景。こんな豊かな湧き水が出ているとはにわかに信じがたい。それでこの湧き水を見つけるのにも手間がかかってしまったわけだ。しかしそれこそ湧き水探しの醍醐味! すばらしい湧き水に出合えた。
 
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 その後福島を訪れるたびに何度か足を運んだのだが、昨秋久しぶりに行ってみると、なぜか再び湧き水の場所を失念してしまい、以前と全く同じようにぐるぐるぐると周囲を回り続けるはめになってしまった。なぜだろう?と悩みながら苦労して見つけたのだけれど、それもそのはず。記憶にあったあの深山の趣たっぷりなロケーションは姿をすっかり変えてしまっていた。
 

大 清 水 の 清 水(2016年秋)

 
 何と、周囲の杉林が全て伐り倒され、はげ山と化していたのだ。おかげであの薄暗い湧き水は、白日のもとピーカン状態でさらされていたのだった。
 まあ何というか興ざめもいいところなのだが、ちょっと環境が変わるだけで、こうも風景は一変してしまうのかと新鮮な気分ではあった。また、明るくなったので今までより気楽に湧き水を利用できるという意味ではよい変化でもあるかもしれない。
 
 東北を縦に貫く国道4号からも程近い場所にある「大清水の清水」。以前の風景は失われてしまったけれど、これからまたどんなふうに移り変わっていくのか、折に触れて訪れてみたい場所であることに変わりはないのだ。新緑が芽吹きはじめるこれからの季節、ぜひ立ち寄ってみてはいかが。