water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

荒沢不動の滝[城里町]☆☆☆

 ジャパンカップ、いかがだったでしょうか。キタサンブラックは素晴らしいスタートからイーブンペースを刻んで磐石の逃げ切り。いくら展開が向いたとはいえ、正直ここまで強い勝ち方をするとまでは思っていなかったので、感動しました。道中の武豊Jの綱さばきが絶妙で、1000mすぎあたりで後続に3馬身くらい差をつけた時に、これは勝つかもと思いました。
 ただ馬券は◎キタサンブラックリアルスティールラストインパクトレインボーラインであえなく撃沈。追い切りで良かった2頭を○▲としましたが、リアルスティールはムーア騎手が「勝ちにいった(が勝てなかった)」と言うように積極的に攻めての5着は評価できるでしょう。外枠だったのと距離が敗因で、力は上位であることをあらためて確認。ラストインパクトは去年の2着馬。近走はさえないものの追い切り良く一発あるかと思いましたが結果的に位置取りと外回って弾け切らなかった。こちらは力負けの感があるが、重賞ではまだ活躍できそう。レインボーラインは後方からの競馬となりましたが展開的に厳しく6着まで。しかしメンバー最速の上がりを使いました。本格化は来年以降でしょうから、引き続き楽しみ。他、ゴールドアクターは最終追い切りでちょっと肩透かしの感ありパドックでもチャカつきがひどく評価を下げ(それでも地力の4着)、ディーマジェスティもやはり追い切り・パドックでのさえのなさ、ルージュバックは距離…と、実は不安のない馬はキタサンブラックだけだったといってもいいかもしれません(いやそんなことはない、東京2400の逃げという大きなハンディはあった。でも東京コース自体とは相性は悪くない)。2着のサウンズオブアースはさほど切れる脚がないので仕掛けどころが難しいのですが、デムーロが察知したか早目のエスコートでした。この馬が一番強い競馬をしたかな。3着シュヴァルグランはこのメンバーで大外ではどうか、スタミナ勝負になったら来るかもなとチラッとは思いましたが地力で軽視。後続馬が脚を使わされる展開になり、キレよりも長くいい脚を使えるこの馬が台頭。展開が向いたという印象ですが大外で3着に来るのは成長の証でしょうか。
 キタサンブラックの話を少し。私が初めてキタサンブラックを見たのは2戦目の500万下だったと思うんですが、この一戦には後のダービー2着馬サトノラーゼンをはじめ素質馬ダッシングブレイズや期待の新種牡馬(当時)産駒サンマルティン、ディープ産駒ウェルブレッドなど、なかなか豪華なメンバーがそろっていましたが、パドックでキタサンを観て「あ何かこの馬いいな」と思って、また名前もシンプルでかっこよかったので複勝買ったんですよね。そしたらまさかの勝利でびっくり。ブラックタイド産駒がしばしば穴をあけることは知ってはいましたが、次戦のスプリングSも勝って、あれよあれよのうちにクラシック戦線、その後の活躍はご存知の通り。競馬が他のギャンブルと一線を画すところは、こういう出会いがあること、1頭の500万下を勝ったばかりの馬がいつの間にかG1という舞台で大活躍するという戦歴のダイナミズムにあると感じます。賭けに興ずる凡庸な自分と、次のステージへと進む馬、このコントラスト。だからこそG1の舞台に出そろう馬たちは憧れや畏敬のような念を持って眺めますし、そこに夢と欲望がないまぜになった何かを、人生にも似た割り切れぬ何かを仮託する。なかなか勝ち上がれない馬はもどかしさと愛着を持って眺めますし、そこに諦めと欲望がないまぜになった何かを、人生にも似た割り切れぬ何かを仮託する。それを競馬のロマンだと胸を張って言えるほど、競馬に漬かりきっているわけでもなければ理解しているわけでもないのですが。ただ間違いなく言えることは、私の人生と収支グラフの関係が、完全なる相似形をもって現在に至るまで推移しているということです。あれ、おかしいな、つねに右肩下がりってどういうこと?

 
 前回、常陸大宮市の「不動玉巻の滝」をご紹介しました(http://d.hatena.ne.jp/water_sky/20161122)が、どうも名前が「不動玉巻」でなくて「玉巻不動」なんじゃねえの?というような問題提起をしましたのを、皆さん既にメモに取ってご承知おきのことと思います。それが根拠に、日本全国には「〜不動の滝」という名称の滝がいっぱいあるから。ということでしたが、同じ常陸大宮市内にまさに「荒沢不動の滝」という私の推論を傍証するかのような名前の滝がありますので、ここにご提示する所存であります。
 常陸大宮市といってもいささか広うござんす。常陸大宮市は大宮町・山方町・美和村・緒川村御前山村の五つの町村が、おもに大宮町に編入される形で2004年に合併し誕生したもので、美和村や御前山村など広い山間部を有する自治体の参加によって市の面積はだだっ広く展開されることとなりました。不動玉巻の滝が北のへりなら、荒沢不動の滝は南西のへり。前者は旧美和村でもまだ集落に近いからよいものの、後者は旧御前山村でも山の中。2011年に竣工された御前山ダムの奥へと車を走らせてゆくこととなります。
 とはいえ道路は片面1車線で舗装されているし、滝も道路から見えるくらいなのでアプローチは容易。道路と滝の間に沢が流れていますが、細いものなので小石を跳び越えて容易に近づくこともできます。
後記:「荒沢不動の滝」は城里町でした
 


荒 沢 不 動 の 滝

 
 その容姿は、平凡で特になんてことない山中に突然として現れる異様な急崖、不敵に青光りする岩壁と、「荒沢」という名にふさわしく荒々しい。普段の水量は大したことなく、だいたいがチョロチョロといった感じなんですが、この岩壁のえぐれようを見れば、太古の昔にどれだけの迫力でここに水が流れていたのか容易に想像が付きます。
 


 
 滝は水量が少ないので、岩を伝って上まで登っていくことができます。巻き道もありそうで落ち口まで到達することもできるでしょう。地形図で見ると、滝のかかる荒沢はその全長は大したことがないので、源流部をたどってみたいところではあります。
 
 


↑ダムの底に沈む直前の旧御前山村相川地区の様子。この写真の中のどこかに、カーブミラーがかくれています。見つけることができるかな?