water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

塩沢鉱石水[福島県石川町]☆☆ 

 この日は須賀川方面の桜を見に行ったのだけど生憎の曇り空で、そのうちに雨がぽつぽつと降り出してきてしまった。それで早いうちに引き返してきて、帰りがけに石川町あたりをウロウロしていて偶然見つけた湧き水。確か小和清水に立ち寄ってその後ここを見つけたので、汲んだ水を捨ててポリタンクを空けたような覚えがある。

044.jpg 「鉱石水」というのはあまり見かけないけれど、どういうことかと帰って調べてみると、石川町は「阿武隈山地の古期花崗岩類(…)に、新期花崗岩類が貫入してきており、その周辺に多くの花崗岩ペグマタイト(巨晶花崗岩)が分布して」(石川町HPより抜粋)おり、日本三大鉱物産地に数えられているそうだ。
 それでこの湧き水の仰々しい整備に合点がいった。何でこんな立派な石のベンチがあるのだろうと訝ったけれど、この湧き水はたぶん鉱物採掘によって発見されたか何かしたのではないだろうか。そう考えれば、町の産業の記念碑的シンボルとして整備されたような趣を感じられなくもない。
 しかも現地に張られていた水質検査(H19年のもの)を見てみると、硬度が「82」とある。中硬水(カルシウムやマグネシウムなどのミネラル類の含有量100〜300mg/L:国内の一般的な目安)に近い。ボルヴィックが硬度60なので、さらにミネラルの含有量が多いということ。まさに天然のミネラルウォーター、「鉱石水」が手に入るのだ!

 道こそ狭いものの、国道118号からさほど離れていないし、アクセスは小和清水と同様に容易だ。ただ惜しむらくは「硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素」の値で、簡単に言ってしまえば、少なければ少ないほどきれいな水と考えて良いと思うが、この値が1.4と、ぼくが今まで訪れてきた湧き水の中では結構高い。
 たとえば前回紹介の「医者清水」は、硬度18.2、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の値は0.1mg/L以下であり(H17年の検査結果)、硝酸〜に関しては飲用として知られているおおむねの湧き水はその程度の値だと思って間違いないと思う。つまり塩沢の鉱石水はそれに比べれば「あまりきれいな水ではない」と言えるとは思う。ただ基準値は10mg/L以下なので問題なく飲めるのだけど、ロケーションがまた、写真のすぐ上が運動場になっていて、ちょっと趣がそがれる感は否めない…。
 とはいえ、石川町の歴史とともに流れてきた水だということがわかると途端に輝き出す個性を持ったスポット。「あーちょっと今日はミネラル多めの水が飲みたいわ」と思った日には是非お出かけあれ。
 ('12.04訪問)