water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

医者清水[福島県石川町]☆☆☆ 

040.jpg
 ←湧き水を探して辺りをウロウロしていると、放し飼いらしき犬が2匹現れてしばらくぼくの車の回りをくんくんしていた。そのうち黒くてでかいほうの犬は、畑の下を流れる沢にざぶんと浸かって水浴びをしていた。もう間もなく12月になるというのに、元気なワンコロだ

 福島県石川町で有名なのは「小和清水」だが、他にもいくつか湧き水が存在する。ここは古殿町との町境に近い山里の「医者清水」、人家もあまり無い田園地帯の道路すぐ脇に忽然と湧出している。

041.jpg 石川町HPの湧水に関する資料を読むと、昔むかしここを通りかかった旅人が病に倒れ、この水を飲んだところ、たちまち病が治ったことから「医者清水」という名が付けられたそう。「医者いらず」が変化したという説も。いずれにせよ体が元気になるような名前だ。
 平成17年の水質検査ではpH6.7、硝酸窒素および亜硝酸窒素の含有量が0.1mg/l以下とのことで、きわめて清涼な水質といえる。
 古殿町との境を形成する二本ブナ(618m)の雨水が地下に潜り込んで、ここまで流れてきた水のようだ。

042.jpg
 農作業の合間に喉をうるおすのに最適だったに違いない。周囲は、比較的広い谷を開拓して田畑が広がっている。

043.jpg
 上流をさかのぼると、「医者清水」からすぐのところにあずまやが建っていて、「蛍の里ぽんかり」という看板が。ぽんかりとは何ぞや?と中を覗くと説明書きがあって、『昔は玄米や麦を精白するのに臼を使って人手でついていたが水力を利用した「ぽんかり」が考案されたのに伴ないこの場所に「ぽんかり小屋」が作られ』た、ということであった。明治中期から昭和初期にかけて付近の住民に利用されたそうだ。水流を利用してばすんばすんと杵みたいなもので精白するような装置が発明されたということでしょうか。その「ぽんかり」自体は残念ながら残ってはいなかったけど、福島民報の記事も貼り付けられていて、復元されたようだ。
 ここにも山の斜面から竹の樋を伝って水が湧出していたが、量はさほど多くなかったので採取はしなかった。

 
 もうひとつ、「にほんぶなの清水」を探してずいぶん車でぐるぐる回ったのだけど(砂利道を何往復かした挙句二本ブナの山頂部まで行ってしまった)、結局見つけることができなかった。医者清水で散歩していたご婦人に話を伺ったら、医者清水と殆ど同じだが(にほんぶなの清水は)水量が少ないのでこちらのほうが良い、とのことだった。もう一度行って探してみるつもりだ。
 
 ちなみに「二本ブナ」って、いちおう山の名前だそうですが、ちょっと珍しい名前ですよね。由来は、かつて白河城からこの山頂に生えていた二本のぶなが見えたことだそう。どんだけ視力がいいんだと思うけど、たしかに山頂部(車で行けます)から眺める景色は、とくに白河方面はほぼ遮るものなく、本当に見えたのかもしれないな、と思わせますね。石川町の最高標高地点。
 ここには放射線量のモニタリングポストがあって、おおこんな辺鄙な場所にレアだなとうれ(以下自粛)、ぼくが行ったときには0.148マイクロシーベルトでしたね。冬だと大層眺めが良いだろうなあ。ちょっとぼくの軽ではとてもじゃないけど冬には行けないが。
 ('12.11訪問)

2013.06 約5.5L/min(4リッターを約44秒)