water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

久之浜の湧き水[福島県いわき市]☆☆ 

 いわきの広野町との境近くの山中に湧き水があると聞き、行ってみた。
 目的地に近づいても、これといった風景ではなく普通の山林が広がっている。特に水量豊富な沢があるでもなし、本当にこんなところに水が湧いてるのかしらん?と怪しみながら細い道を進んでいくと、林と田園の境で唐突にその湧き水は見つかった。
045.jpg
 車が2台ほど停まれるスペースの奥一帯が水場になっており、その中央で水が勢いよく湧き出している。この日は先客があり、おばさんが洗濯をしているところだった。

 (写真を撮っていいですか?と聞いたら「あたしはダメだよ!」と言われたんだけど後ろ姿なら構いませんかね?→)

 写真をごらんになると分かる通り、水が直接地面から湧出しているのではなく、何か円柱のようなものを通っていることがわかる。おばさんに話を聞いたところ、これは地面を掘って地下水を湧出させているそうで、十数年前(正確な年代は不明)にこの付近でゴルフ場建設の話が持ち上がった際、そこのレストランやら建物用の水を確保するための調査の折に掘られたものだそうだ(ゴルフ場の話はその後頓挫したらしい)。
 水量は非常に豊富で、4Lのペットボトルを約8〜9秒で満たしてしまうから、1分あたり120L超の水(しかも湧出口はふたつだからその倍量)が湧き出していることになる。

047.jpg
 おばさんの仰るには、それでも以前に比べてだいぶ水量は少なくなったということだ。
 とはいえ、震災のときには多くの人がここを訪れたという。一応地主の方が「この井戸水は飲用ではありません」という看板を掲げてはいるものの、水質検査を行っていないだけで「飲めるよ」とのこと。口に含むと地下水特有の?ちょっとした渋み・アク。懐かしい味だ。

 4Lのペットボトル3本ほどに水を頂戴し、その場を辞す。カーラジオからは福島のラジオ放送が流れている。海のほうへと山を下るとまもなく集落が現れ、高い陸橋に支えられた常磐高速自動車道が見えてくる。まもなくして海沿いを走る国道6号へと合流だ。いまだ津波の爪あとを色濃く残すいわき四倉の海岸を眺めながら市街地へと下り、らぁめん大門に行ったら何と休みだったので「麺遊心」のあごだしラーメンを食べて帰る。博多ラーメンばりの極細麺で、一回まで替え玉が無料である。「最近流行りの魚粉で味キメ魚介系」ではなく、あっさりとしながらもコクのあるあごだしである。いわきへ立ち寄られる際には是非。

046.jpg
 新緑に包まれた野山にひっそりとたっぷりと湧き出る久之浜の湧き水です。

 ('13.05訪問)