water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

秀明水[大子町南田気箕輪]☆☆☆☆☆


 風評被害の残滓いまだ拭い去らぬ2012年の年明け、私は袋田の滝を訪れていた。完全に、とまではいかないものの滝は見事に凍っていた。この年は例年に比べてずいぶんと冷え込む日が多かったように記憶している。
 …こんな写真を見るだけで涼しくなるのなら、クーラーなど必要ないし同じ人間同士憎み合い殺し合う必要だってないのだ。しかし今日も遠い地ではボタンひとつの静かな押下でミサイルは飛ぶわキーの荒々しげな押下でオフィスの雰囲気は悪くなるわ、今年は例年に比べてずいぶんと暑い日が多いような気がする。大子町など、日中の気温36〜37℃なんてザラといった具合である。
 そんな大子町にも湧き水は多いけれど、特に八溝山回りの湧き水(八溝川湧水群)が有名である。僕も車の免許取り立てのころに行ったのが八溝山の湧き水であった。この日も帰りに前が見えないほどの雨と雷に見舞われて肝を冷やした。
 しかし比べて「秀明水」は、それなりに知られてそうなのに意外に知られていないっぽい湧き水っぽい。ネットで検索してもぽつぽつとしか出てこない。まああんまり教えたくないからそれならかえって好都合なんだけど、でもそれならいっそ僕が教えたい、世界に向けて真実を発信し、そして真実が詳らかになれば僕の存在価値は無くなるということなのでイコール死。という渋谷系的価値観でもってこの「秀明水」をお知らせします。なので真実はそう遠くない近い将来に必ず明らかになる。という態度が一番居心地が良い。ダニー・ハサウェイとは対極の位置にある。っつうか有名でしょここ。


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 集落の間の狭い道を慎重に抜けていくと、道の舗装は拙いでこぼこへと変わり、さらに高度を上げて山の中へと続いていく。いくつかのカーヴの途中では、大子の町並みや男体山、月居山をはじめとする山並みが一望できるけれど道幅に余裕はないのでよそ見はできない。最近山の斜面の木が刈り取られて見晴らしがよくなったのはいいのだけど、そのぶんハンドルさばきを間違えれば即落っこちる危険の視認性が高まったので、注意されたい。
 民家のわきにひっそりと湧き出しているのが「秀明水」。「ひであきみず」といいます。命名者がタッキーの盲目的なファンだったとか、庵野監督に早くナウシカ真版をつくってくれとの願いが込められているとか、諸説はいくつか考えましたがどれもつまらない。だいたい「秀明」に対する感受性が、その程度でしかない。水戸光圀公垂涎の水で、「しゅうめいすい」といいます。


秀 明 水

 大子の山が培った豊かな水で、味はまろやか。最大の難点が道路の狭さで、民家にも接しているので注意が必要です。大きい車はUターンに苦労しそう。また普段の管理は民家の方がされているようなので、もし顔を合わせたら挨拶しときましょう。結構遠方からも人がやってきており、東京のそば屋さんがわざわざここまでトラックで水を汲みに来るという話も聞きました。少し上には「箕輪のヤマザクラ」があるのだが林に囲まれ展望がきかないのと時期が難しく、まだ満開時にお目にかかったことがありません。

 急峻な山あいの町、大子。夏は暑く冬は寒い。そんな厳しくも美しい自然の町、大子にも、またいつもと同じ春がやってきた。いま夏だけど。

 
動画を追加。これ冬。

これ音フェチ。


2013.03 約5.3L/min(4リッターを約45秒)
2013.04 約8.9L/min(4リッターを約27秒)
2013.09 湧出量が一定でない(4リッターを約25・27・52・65秒)
2014.04 約7.5L/min(4リッターを約32秒)