water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

戸津辺の桜[矢祭町中井戸津辺]

 
 福島の桜、どこを一番最初に紹介するか難しい。三春滝桜は言わずもがな、福島には素晴らしい桜がそれこそ幹が腐るほどあるわけで、まあそのほぼ全てがインターネットの中に網羅され尽くしているわけで、今さら「○○○の桜へ行ってきました!」とブログでやるのもちょっと薄ら寒いものはある。桜を紹介している素晴らしいブログだってそれこそ腐るほどあるし、茨城県内の桜に絞って充実した情報を日々提供している人もいる。だがあえて個人性に回帰するならば、2008年あたりからデジタル一眼レフを持ち出して気の向くままに各所の桜を撮ってきた。正直リスト化なんてできるほど数はないけれど、自分なりに撮り溜めて早いもので10年になるので、そのあたりを自分なりに整理したいという気持ちが強い。
 それで、じゃあ福島の桜で一番最初に見に行ったのはどれかな、、、と思い返すと、矢祭町の「戸津辺の桜」だった。一番近いから。がその理由なんですけどね。



 詳細は矢祭町HPの「観光」ページ中(http://www.town.yamatsuri.fukushima.jp/page/page000148.html)に、PDFファイル(http://www.town.yamatsuri.fukushima.jp/data/doc/1457494034_doc_4_0.pdf)があるので参照されたい(ワードで作成してらっしゃるんですね)。
 この辺りではもっとも早く咲き、福島県内でもかなり早いうちに入るだろう。福島の一本桜としてはもっとも南に位置し、国道からちょっと高台に上がるというロケーションもあってか、例年4月上旬には満開になっている。春の訪れと畑仕事の頃合いを知らせる、いわゆる種まき桜で、樹齢600年のエドヒガンザクラ。



 
 先日、われらが茨城の朝刊紙、茨城新聞の一般応募月例のフォトコンテストで、この桜を撮った写真が最優秀賞に選ばれていた。それを見て「やられた!」と嘆息した諸兄も多かれと思う。あるいは「俺の方がうまく撮れてる!」とお思いになっただろうか。僕は「ああ、やられた!」と思ったと同時に「ああ、俺よりうまい!(当たり前)」と思いましたね。
 戸津辺の桜はすぐ近くを水郡線が通ることから、電車との風景が人気のスポットでもある。最優秀賞を撮った写真も、桜と電車のコンビネーション。僕が行った時にも、カメラを3台も設置してタイミングを待つ高齢男性などが撮影ポイントでまんじりともせずじっとしていた。その脇っちょから見よう見まねで撮らせてもらったのが下の写真。


(ちょっとトリミングした)
 最優秀賞の写真の100分の1くらいにはよく撮れてるかなと思います。件の写真は、黎明の光がこの桜の微妙な色合いを淡く照らし出していて、ドラマチックな1枚。エドヒガンのあでやかな色気と、電車が通る朝の凜とした空気が伝わってくるかのよう。
 願わくば、現在運用されているステンレス製の車両でなくて、昔の白とグリーンを基調とした車両で撮れたら、趣がぐっと増すのになあとは思う。
 


写真はいずれも2008年
 毎年、「戸津辺の桜が満開になりました」という知らせを聞くと、「えっもうそんな季節なの?」と吃驚し、そして気分がずんと沈むというわけなんですね。なぜ気分が沈むのかって? そりゃあ、桜が美しく咲き誇り散っていくことと僕との間に何ら関連がないことを、また思い知ることになるからだよ。