water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

右近清水[新地町谷地]☆☆☆

 前回紹介の真弓清水(https://blog.hatena.ne.jp/water_sky/water-sky.hatenablog.jp/edit?entry=4207112889905946078)から国道6号方面へ、直線距離でおよそ2キロ、車で7分程度の場所にあるという右近清水に行ってみます。真弓清水と緯度がほぼ同じであり、適当に東に向かっていけば見つかるだろうと高を括っていましたが、なぜだか南北に行ったり来たり、同じところをぐるぐると迷い続けるはめに。緯度は同じだって言ってんのに。そのうちに懸念されていた雨が降ってきてしまい、しかもどしゃ降りという始末。

 目印は、町内で1番の貯水量(福島県HPより)を誇る菅ノ沢溜池。正規の進入口にはちゃんと立派な看板が立っているのですが、今回は路上駐車して"裏口"からアプローチします。どしゃ降りなのに傘も持たず、滑る石階段を滑る靴で、4Lのペットボトルを小脇に抱え背中を丸めて小走りで。

右 近 清 水

 到着。右近清水のために設立されたNPO法人が定期的に活動を行っているようで、周辺は綺麗に整備されています。湧き水は…と探すと、東屋の奥でこんこんと湧き出ていました。水量も文句ない。

 右近清水の名の由来は、伊達政宗の孫に当たる伊達右近とのこと。現在の宮城県亘理から新地の地に移り住み、植林や新田開発を進め地域の発展に寄与する中で、鹿狼山を望みながら毎日この湧き水を賞味して暮らしたことからその名がとられたということです(福島の湧き水のバイブル「ふくしま湧水物語」より)。「平成の名水百選」に選ばれており、地元の有志たちが普段から大事にされているのを実感しますね。

 

 こういう日に東屋があるのは何ともありがたいんですが、それでも強い風に巻かれてしぶきがかかるほどのどしゃ降り。雨の向こうには早くも霞みはじめた菅ノ沢溜池。只見川を彷彿させるような水面の色ですが、これは濁っているんでしょうか。春には沿岸の桜が綺麗だそうですよ。



アクセス

 真弓清水から:清水脇の道路を国道6号方面に向かって東進、常磐道の高架橋をくぐった先の十字路を直進して左へゆるくカーブした先で、左手に看板がある。西進してきた方向によく見えるように設置されているので分かりづらいが、看板のたもとの道に左折して進んでいけば到着。あるいは十字路を左折して林の中を下る途中に、道路の右手に湧き水へと下っていく歩道が整備されている。こちらは駐車場がないので路上に車を停めるしかない。

 国道6号から:新地町役場に至る新地交差点を北へ直進した次の信号のない交差点を左折。車線が引かれていない狭い道なので分かりづらいが看板が立っている。100mも進めば片側一車線の道路になるので道なりに西進し、2キロ弱行ったあたりで右手に看板、そこを斜めに右折して進めば到着。

 

 以上、新地町の三大清水でした。この後、南相馬市の山中にある「助けの名水」にも向かってみたのですが、災害復旧工事のため途中で通行止めとなっていました。令和4年11月15日までとのことだったので、現在は復旧しているかも? 現地の方に訊いてみましたが「あれはすごくいい水だよ」。おらが水は、いい水だ。いつかレビューしたいですねえ。

 

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最近はずっとBONNIE PINKの「Tonight, the Night」を聴いていた。これ何と2003年の曲ですって。当時も耳にしていたとは思うけれど何も思わなかったんだろうな、全く馬鹿だね。今となってはもう戻らない若き日々を、取り戻したいとは思わないが、「この曲を聴いていた2003年」を少し想像しながら、体に空いた穴を埋めるかのごとく聴いてみる。とはいえYoutubeに上がっているライヴバージョンは尊すぎるので1回しか聴いていない。おいそれとは聴けないだろう(今回リンクを貼る時に2回目聴いた。動画のコメントで「女子高生の時聴いてた」とか、嫉妬しかないよね)。男前のボニピンの抜けの良さも気持ちいいが、フックのシンセとギターのユニゾンが泣ける。

で、聴くだけでは物足りなくてどうしても歌いたいのだけれど、当然ながらキーが高すぎて歌えない。特に「the night~~~」のところなんか裏声というより金切り声で。それでも出退勤時の車の中で毎日ガナッていたら、ちょっと無理があるけどそれなりに出るようになりました。冒頭の「きっとあなたは変わる」で限りない祝福に満たす歌詞が秀逸で、これはユース世代にはマストでしょう。ストレートに恋愛の曲ととらえてもよいのだけれど、若者特に女性へのチアが込められていると読み替えて聴いてみると、この曲の射程が存外に長いことが21世紀も20年を過ぎた今になってはっきりと認識される。何げない「Tonight」が本当に万華鏡のようにキラキラと光りはじめるから、聴いてみて。TonightといえばBabyfaceの名曲「Tonight It's Goin' Down」がありますが、

この曲が収められているアルバム「Grown & Sexy」がリリースされたのが2005年なので、遡ること2年前に誕生しているのである。完全にベイビーフェイス、パクッてるでしょこれ(まあこっちは完全にセックスの曲だけど)。

若者や女性へのチアという意味では、他にも見つけてしまった。ものんくる「Reloading City」。

ここまで愚直に率直に勇気と希望を感じるような曲も久々に聴いた気がする。「エモい」とはまさにこのことだろう。感情にノーガードで迫ってくるのに対して、こちらもノーガードで受け止めざるを得ない切実なコミュニケーションを要請する、がゆえにものんくるの場合、エモすぎてしばしば聴くのがしんどいほどなのだが。この曲も「Tonight, the Night」と同様にこれから羽ばたこうとしている人たちに祝福を送っている。この曲はまだいい、問題は次の「夕立」である。これがまたキーが高くて歌えないのだ。


最後の転調(キーが上がるところ。菊地成孔さんは「どっこいしょ転調」と名付けた。近年この手の転調でこれほど意味のあるのを聴いた覚えがないんですけど)なんか、当のさら太郎ですらかなり顔を歪めて発声している。俺にどう声を出せと? それでも曲がりなりにも「Tonight, the Night」が通して歌えるようになり継続は力ってのは本当なんだなあと齢40にして初めて実感している今日この頃、車の中で頑張って喉を開いてガナッております。てか、ものんくるのアルバムも2018年かあ。

すぐれたポップスはすぐれたポップスを参照する。「夕立」の間奏部はORIGINAL LOVEの「接吻」を想起させる。「朝日のあたる道」も後半どっこいしょ転調してたな。