「栴檀は双葉より芳し」なんてな言葉がありますが、これはよく意味を間違われることで有名ですね。正しくは「ダービーを勝つ馬は新馬から高い指数を出す」という意味です。ということで、過去4年の日本ダービー出走各馬の新馬戦における指数を見ていきたいと思います。これはスピード指数系では前提として言われることですが、指数の高低が必ずしもレース結果に直結するとは限りません。好走レンジは各馬によって異なるわけですし、そもそもレース適性などまだはっきりしていない2、3歳時ですから、その傾向はことさら強いわけです。とはいっても冒頭の言葉が示すように、大舞台で結果を残す馬は緒戦で既にその強さの片鱗を指数上においても現すのではないか。との仮定のもとに、指数を列挙していきたいと思います。なお、指数の算出方法をはじめ細かい説明はしません。当ブログは競馬予想カテゴリではなく、湧き水巡りなのでね。本当でしょうか?
それでは昨年、2022年の日本ダービーから、馬番順で見ていきます。左から馬番、馬名、開催場所と距離、指数、指数順位、着順(※はダートのため除外)
1アスクワイルドモア 函館1800:86 6位 12着
2セイウンハーデス 阪神1400:81 14位 11着
3アスクビクターモア 東京1800:86 6位 3着
4マテンロウレオ 阪神2000:77 16位 13着
5ピースオブエイト 小倉1800:82 13位 18着
6プラダリア 中京2000:86 6位 5着
7オニャンコポン 中山2000:86 6位 8着
8ビーアストニッシド 中京1600:83 11位 10着
9ジャスティンパレス 中京2000:90 3位 9着
10マテンロウオリオン 阪神1600:86 6位 17着
11ジャスティンロック 中京2000:79 15位 16着
12ダノンベルーガ 東京2000:94 2位 4着
13ドウデュース 小倉1800:89 4位 1着
14デシエルト 阪神1800:99※ 15着
15ジオグリフ 東京1800:89 4位 7着
16キラーアビリティ 阪神1800:83 11位 6着
17ロードレゼル 中山2000:67 17位 14着
18イクイノックス 新潟1800:113 1位 2着
一見して分かるのはイクイノックスの指数。1頭だけ100を大幅に超えています。実績も唯一、指数に直結しているように見えますね。のちに3歳で天皇賞・秋、有馬記念を連覇し、その勢いを加速させドバイシーマクラシックを圧巻の勝利で飾るほどの名馬へと成長を遂げますので、これこそ「栴檀は~」の好例かと思われます。この日は大外枠に泣いたか。
他は優勝したドウデュースが4位、3着のアスクビクターモアが6位タイと、若干惜しいところをかすめています。単勝3.5倍の割れた1番人気に推されたダノンベルーガが2位で4着も惜しいですが、それ以降は3位ジャスティンパレス9着、4位ジオグリフ7着と若干精度を欠いています。
結果論とはいえ馬券的にも難しくはなりましたが、指数1位のイクイノックスを軸に固めれば馬連、三連複は獲れそうな感じですね。ちなみに実際の馬券は◎ドウデュース○ダノンベルーガ▲ジオグリフ注アスクワイルドモア△イクイノックス・ジャスティンパレスで、ガミった。
では2021年。この年は絶対的な人気馬がいましたね。そうエフフォーリア。彼もまた栴檀なのか。
1エフフォーリア 札幌2000:91 8位 2着
2ヴィクティファルス 阪神1800:81 13位 14着
3タイムトゥヘヴン 東京1800:67 16位 13着
4レッドジェネシス 阪神2000:82 12位 11着
5ディープモンスター 京都2000:95 5位 16着
6バジオウ 新潟1800:103 3位 9着
7グラティアス 東京2000:63 17位 8着
8ヨーホーレイク 阪神1800:79 14位 7着
9ラーゴム 阪神2000:89 10位 12着
10シャフリヤール 京都1800:111 1位 1着
11ステラヴェローチェ 阪神1600:100 4位 3着
12ワンダフルタウン 阪神1800:94 6位 10着
13グレートマジシャン 東京1800:104 2位 4着
14タイトルホルダー 中山1800:84 11位 6着
15アドマイヤハダル 新潟1800:91 8位 17着
16サトノレイナス 東京1600:73 15位 5着
17バスラットレオン 札幌1800:92 7位 15着
この年もっとも幸運だった馬はシャフリヤール。指数も堂々の1位! 君が栴檀だったか。単純な比較にはあまり意味がないけれど、22年のイクイノックスとほぼ同等の指数が出ています。この時点ですでに100を超えている馬が4頭いて、グレートマジシャンこそ引退してしまいましたが、バジオウは重賞勝ちはないもののオープンで安定した走りを見せているし、ステラヴェローチェもGⅠをはじめ重賞戦線で活躍中。2着に入った断然の1番人気エフフォーリアは若干低い指数ですが、この日は運がなかったとしか言えないハナ差負け。この後も活躍は続き、3歳時での天皇賞・秋、有馬記念連続勝利は記憶に新しいところ。またGⅠ3勝を挙げているタイトルホルダー、日経新春杯を勝ったヨーホーレイク、UAEとサウジの重賞レースを勝つバスラットレオンなど、メンバーがそろっていた印象。
馬券的にはどうでしょう、シャフリヤールを軸にしてエフフォーリアまで拾えるかどうかになってきますが、8位でこの人気となると切ってしまうかもしれない。この時の私の予想は◎エフフォーリア○ヨーホーレイク▲ステラヴェローチェ注バスラットレオン△タイムトゥヘヴン・レッドジェネシス・シャフリヤール。で、外れてました。
2020年。この年は何と言っても三冠馬コントレイルの存在に尽きるでしょう。コントレイルのみならず、牝馬三冠にデアリングタクト、そして古馬ではアーモンドアイ。この三者が激突したジャパンカップの名勝負など、歴史的な一年となりました。
1サトノインプレッサ 京都1600:102 2位 4着
2アルジャンナ 阪神2000:66 16位 18着
3ワーケア 東京1800:76 12位 8着
4レクセランス 京都1800:95 4位 15着
5コントレイル 阪神1800:83 8位 1着
6ヴェルトライゼンデ 小倉1800:94 5位 3着
7ブラックホール 函館1800:64 17位 7着
8ビターエンダー 東京2000:98 3位 10着
9ダーリントンホール 函館1800:92 6位 13着
10コルテジア 中京1400:78 10位 12着
11ガロアクリーク 東京2000:62 18位 6着
12サリオス 東京1600:77 11位 2着
13ディープボンド 京都2000:111 1位 5着
14マイラプソディ 中京2000:74 13位 9着
15サトノフラッグ 東京2000:80 9位 11着
16マンオブスピリット 京都1600:90 7位 16着
17ヴァルコス 小倉1800:67 15位 14着
18ウインカーネリアン 東京1800:72 14位 17着
優勝したコントレイルが8位、2着サリオスにいたっては11位と、この年はちょっと引っかかりませんでした。とはいえ指数1位のディープボンドは言わずと知れたのちの3年連連続天皇賞・春3着馬。これは栴檀案件と言ってもよいのではないでしょうか。
馬券的にはサトノインプレッサとディープボンドのワイド1点なんかで4、5着ならまあまあ楽しめたのではないでしょうか。私も馬券はもちろん外しました。
では最後に2019年。この年にも大物がいましたね。名牝シーザリオの子、サートゥルナーリアです。彼はのちに有馬記念でこちらも名牝のリスグラシューと激しい叩き合いを演じますが、大器の片鱗(指数)は見せていたのでしょうか。(※は地方からの転入でコスモス賞のため除外)
1ロジャーバローズ 新潟2000:89 7位 1着
2ヴィント 阪神1800:61 17位 14着
3エメラルファイト 東京1600:88 8位 12着
4サトノルークス 阪神1800:81 12位 17着
5マイネルサーパス 新潟1600:86 9位 11着
6サートゥルナーリア 阪神1600:79 13位 4着
7ダノンキングリー 東京1600:82 11位 2着
8メイショウテンゲン 京都1800:108 1位 10着
9ニシノデイジー 函館1800:78 14位 5着
10クラージュゲリエ 札幌1800:62 16位 6着
11レッドジェニアル 京都2000:95 6位 8着
12アドマイヤジャスタ 阪神1800:83 10位 18着
13ヴェロックス 小倉1800:99 3位 3着
14ランフォザローゼス 東京2000:97 5位 7着
15リオンリオン 札幌1800:98 4位 15着
16タガノディアマンテ 京都1800:106 2位 9着
17ナイママ 札幌1800:97※
18シュヴァルツリーゼ 東京1800:67 15位 16着
この年はちょっと肩透かしを食らった感が強い。ヴェロックスが辛うじて指数3位で3着に来たけれど、他がひどいですね。お気づきかもしれませんが、京都1800は若干指数が高めに出る傾向が強いです。とはいっても優勝したロジャーバローズが7位、2着のダノンキングリーは11位と、指数がほぼ機能していないといっていいでしょう。
馬券的にもここは完敗ですね。実際の馬券は、◎ヴェロックス○サートゥルナーリア▲サトノルークス注ロジャーバローズ△ダノンキングリー・クラージュゲリエ・アドマイヤジャスタ・シュヴァルツリーゼで三連複を獲るという、結構雑な買い方でプラスではありました。
それでは改めて、日本ダービーにおける各馬初戦の指数上位の着順を整理してみましょう。
・2022年 指数1位→2着 2位→4着 3位→9着 4位→1着、7着
・2021年 同1位→1着 2位→4着 3位→9着 4位→3着 5位→16着
・2020年 同1位→5着 2位→4着 3位→10着 4位→15着 5位→3着
・2019年 同1位→10着 2位→9着 3位→3着 4位→15着 5位→7着
と、こういう結果になりました。結論としては「栴檀は双葉より芳しとは必ずしも言えない」ということになります。いいんでしょうか、古来より親しまれてきた格言に唾吐くようなことを言って。
まあ、馬券購入の参考にするにはちょっと厳しいか… 年を追うごとにピントが合ってきている傾向は見受けられますが。まあこの指数自体があくまで「初戦」に絞って見てきたものなので、例えば2020年指数11位のサリオスなんかは、ハーツクライ産駒らしい粗削りな馬体で、まるで牛のよう、本格化は4歳以降だろうなんてなことを言われていましたから、3歳時特に初戦などは指数が出なくてももっともなことには思えます。2戦目以降の指数もつぶさに見ていけばまた違った発見があるかもしれません。まあそういった感じで、少しでも競馬予想のお役に立てれば幸いです。今年のダービーはどの馬が勝つんでしょう、楽しみですね。
…で終わらせたら全く何の意味もないこの記事。お役に立てればって、立てないっつうの。次回のエントリで、2023年の日本ダービー出走馬の新馬戦の指数を見ていこうと思います。刮目してください。俺はもうあの馬に決めてるんだ。