water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

これが俺の東北の桜だ[喜多方市某所]

 前回、会津美里町の「馬ノ墓の種蒔桜」がまだ間に合うということで、急いで見に行ったことをお伝えしました(馬ノ墓の種蒔桜[会津美里町旭三寄] - water_sky’s waterbound diary)。樹齢300年を誇る、会津地方でも指折り数えるであろう名木がしかし一気に霞んでしまうような風景に僕は出合ってしまったのです。

 天気はこれから下り坂を迎える前の晴れ。空は薄く雲がかかり、どうやら今日は快晴の青空は期待できなそう。それは承知で来たのですが、いささか写欲にも霞がかかる気分で、喜多方ラーメンを食う心づもりでとりあえず北上。喜多方市に入ると、立ち寄ってみようと思っていた「日中線しだれ桜」は平日にもかかわらず結構な人出の様子。

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 警備員さんも多数動員される盛況ぶり。駐車場を探して付近をうろうろしていた時、それは忽然と目の前に現れたのでした。

 

 

 こ、これだ…! 俺が求めていた桜は!

 道路脇に何気なく佇む神社。それに寄り添う桜。その遠く向こうにそびえる雪をかぶった山々。

 これ以外に何を付け足すものがありますか? いや一つも無い。山の中腹に並ぶ鉄塔と、今いち晴れ渡らない空の薄雲、それすら今日の風景の必然である。これが俺の東北の桜だ。と言うほど東北の桜を見てきたわけではない(福島の桜しか知らない)けれど、万感の思いでシャッターを切り続けました。

 

 

 すぐ近くで建屋の工事をしている人がおり、こちらに向かって「写真なんか撮ってどうすんだ? 金でももらえんのか笑」みたいに揶揄する声が聞こえたような気がしましたが、僕は気にしません。むしろ朝からお仕事をされているのに遊び呆けていてすみません、僕は至高の風景に出合ってしまいました、申し訳ないが今少し阿呆面して写真を撮らせていただく。公休消化。と完全に開き直ってしまいました。そうするに値するだけの光景を僕は目にしていたのです。

 

 

 いまだ雪解けならぬ白い山と桜を一度に収めるのは、桜を撮る者なら一度はあこがれるもの。雪国に暮らしていない僕にとって雪山はやはり特異な存在なのです。何度目にしても興奮と畏怖を拭い去ることができない。それを桜が優しく慰撫してくれる、これは祝福された春なのですよと教えてくれるのです。

 

 1時間ほど粘り満足した後は、もうひとつのお楽しみ。喜多方ラーメンは「ラーメン一平」でキメました。

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 背脂たっぷりの「じとじとラーメン」がたまらない。個人的には喜多方ラーメンの新感覚。再びこの地を訪れる理由が増えてしまった。

 

 やっぱり雲一つなく晴れた青空をバックに撮ってみたいな。来年以降、またチャレンジだ。ちなみにこちらの神社は「御稷(ごしょく)神社」といって、どうやら五穀豊穣を祈念しているようです。場所の詳細は秘しますが、こんなに素晴らしいロケーションを放っておくはずもなく、多くの人が訪れているようです。

 

 

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 先日、縁あって矢野顕子上妻宏光のコラボユニット「やのとあがつま」のコンサートを観る機会にあずかったのですが、ほとんど一番後ろの席だったせいか音響がイマイチかなと思いましたが、アンコールラストでやった「ふなまち唄PartⅢ」がすごかったですね。最後はデュオだったのですがその分矢野さんのピアノがダイレクトに聞こえて、鳥肌が止まらなかった。恥ずかしながらこの曲が矢野顕子のオリジナルだと知らなくて、Youtubeでマーク・リボーのギターを聴いてびっくりしています。す、すげえ… ある意味もったいないことをしたと、少し悔いています。

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