water_sky’s waterbound diary

酒に溶かしたやり場のなさと打ち明けられた愛のあいだ、泥の川とディラックの海のあいだ

下三坂の種まき桜[いわき市下三坂]

ひとつ前のエントリで三春滝桜も葉桜となりいよいよ福島の桜も終りか…と書いたが、越代の桜(https://water-sky.hatenablog.jp/entry/20170430/p1)が控えていることはもちろん、あの桜ももしかしたらこれからじゃないかな…と思い出したのが、いわき市の「下三坂の種まき桜」。

 

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下三坂の種まき桜

 この日、現地に到着したのは午前5時前。朝陽を浴びる桜を撮りたくて気合を入れて早めに到着したのだけれど、山間のしかも高台にあって、まあとにかく寒い。念のためと思って持ってきた冬用のジャケットを着ても震える寒さで、足元の草を踏むと下りた霜がシャリッと音を立てる。いくら山間といっても、いま4月だよな…?と嘆きたくなる寒さの中、じっとしていると特に手がかじかんでしまうので、ちょこちょこ動いたり写真を撮ったりしながら、ひたすら日の出を待つ。

 そうして1時間ばかりが過ぎたころ、ようやく朝陽が桜を照らし出す。林の間から漏れてくるわずかな陽のあたたかさを求めてしまうほどに、体はこごえ切っていた。

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 下三坂の種まき桜は、いわき市の観光サイト(https://kankou-iwaki.or.jp/)によると、樹齢150~200年のエドヒガンで、2006(平成18)年に市の天然記念物に指定されたとのこと。現地で桜を目の当たりにした者の端くれとして言わせてもらうと、なるほどこの桜が十分に咲きでもしないと、とてもじゃないが農作物の種は蒔けないな、寒すぎて。という思いでいっぱいだ(日中はもちろん春の陽気だけどね)。

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 丘までの坂を上ると、目の前に桜が見えた。あこがれのアングルだ。

 

 この桜の手前には、道路沿いに「観音桜」とよばれる古い桜が立っている。

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観音桜

 樹齢は今ひとつ不明で、上よりも横方向に枝が伸びている。特異な姿で、花の付きは旺盛とはいえないが、神さびた幹に歴史を感じずにはいられない。

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 今年の福島の桜は例年並みか少し遅いくらいかな、と感じていたので、この桜もこれから見頃になるんじゃないかなと思ってSNSで検索してみたが、21日くらいには満開を迎えていた模様。どうだろう、花散らしの雨には堪えられるだろうか。

 

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 このエントリを書くにあたって桜の写真を編集していたが、その青空を眺めていたらふと空気公団の「あさの弾み」を思い出した。だが僕には空気公団について言及する資格が無いのではないかと感じている。なのでここでは動画を貼るにとどめておく。この音楽と共に、すべての桜が朝陽に輝き、すべての人々の朝がそこにあるように、現在と永遠をつなぐ光に祝福されていますように。